清らかな湧水で泳いだコイは臭みがなく、旨味とコクを堪能できる。タルタルソースを添えた「こい南蛮丼」や甘酢仕立ての「鯉あんかけ丼」に鯉汁や小鉢などが付いて、いずれも1,300円。(11:30~14:00には750円の昼定食でも味わえる。土・日・祝日を除く) 続きを読む

炊きたてのご飯をふぅふぅいいながら食べるとき、「あぁ、日本人でよかった」と思う。艶々とした飯粒の一つひとつが立つように炊き上がった様は、まさに”銀シャリ“。噛むほどに甘味を増すご飯のおいしさときたら、もう堪らない。その熱々のご飯の上に好みの具材をたっぷりと乗せた丼とくれば、言わずもがな。
ぐんと寒さが増す頃は、天草の海鮮がひと際旨くなる。旬を迎えた海の幸といえば、ウニやエビ。カワハギを肝に付けて食べるのも、いかにも通好みだ。
また、たんまりと脂肪を蓄えた阿蘇のあか牛や鹿などの山の幸も捨てがたい。トロリとろけるような柔らかな旨味が味わえる。
海vs山の”丼“対決。まずは食べてみなきゃ、始まらない。

細川家の御料理頭・村中乙右衛門が遺した料理秘伝書「料理方秘」を基に、殿様や家臣が食べたであろうメニューの数々を再現。水前寺海苔、きじ肉、鮎など熊本ならではの素材で、江戸時代の風流を今に伝える箱膳に仕立てた。御家中膳3,150円(2名以上、3日前までに要予約)問/熊本県立美術館本館 喫茶室 ラ・パレット TEL 096-352-2111(火~日曜) TEL 096-326-8828(月曜、熊本交通センターホテル)
およそ400年前の文禄・慶長の役で、朝鮮へ出兵した加藤清正軍の食糧が尽き、やむを得ず陣中で軍馬を食べたのが始まりだという説がある。江戸時代には薬膳料理の一つとして提供され、滋養強壮に良いとされていたという
藩の財政建て直しを図って出された倹約令に応えて考案された酒の肴だといわれている。ネギを茹でてぐるぐると巻いた簡単な料理ながら、ネギの香りや甘味を十分に楽しめる一品だ。酢味噌や辛子酢味噌などで食べる熊本の名物料理
病弱だった細川忠利に禅僧・玄沢和尚が栄養価が高い蓮根を食べるようにと献上したのが始まりだといわれている。さらに輪切りにした切り口が細川家の家紋「九曜紋」に似ていることから、門外不出の味となり、明治維新以降にようやく一般に食されるようになった
加藤清正が豊臣家に熊本の名産として献上したという記録もあるほど、その歴史は古い。さらに細川家の時代になると赤酒を「お国酒」として保護し、ほかの酒の製造や他藩からの酒の流入も禁じたという。新年を祝うお屠蘇や祝い事のお神酒、また甘味を生かして料理酒にと、熊本の暮らしになくてはならないものだ
一子相伝の奥義を受け継ぐ 大名文化の侘びさびを知る
伝統文化を絶やさず守り続けるためには、次代へ奥義を受け渡す秘伝がある。醍醐(だいご)天皇の命により編纂(へんさん)された「古今和歌集」の継承は、「古今伝授」と称され、書くことさえ許されない秘法は、口伝(くでん)により師から弟子へと伝えられてきた。
「水前寺成趣園」(熊本市)には、細川藤孝が八条宮智仁親王へ、古今和歌集の解釈の奥義を伝授したという「古今伝授の間」が佇んでいる。およそ400年前に京都御苑の八条宮家(のちの桂宮家)の中に造られた建物は、明治4年に桂宮家から細川家に下賜された後、大正元年に現在地に移築。
「古今伝授の間」から望む東海道五十三次の景勝を模したという庭園は、初代肥後藩主・細川忠利が造営した御茶屋が始まりとされ、3代藩主・綱利の時代に現在同様の形を成したといわれている。
四季折々の侘びさびを重んじた殿様たちの風流を偲ぶひとときもいい。
(下)伝統的な書院造りの一の間から庭園を望めば、そこには一幅の絵のような美しい景色を眺めることができる。東海道五十三次の景勝を模したという桃山式庭園には“水前寺富士”がそびえ立つ


(左)「水前寺成趣園」内に鎮座する出水神社は、細川家初代藤孝・2代忠興・3代忠利・8代重賢を主祭神とし、その他歴代藩主および忠興の妻・ガラシャを配祀している(右)能楽をこよなく愛した細川家ゆかりの地らしく、園内には能楽殿がある。出水神社の春秋の例大祭では薪能が奉納され、多くの人々が足を運ぶ。平素は能装束や面を付けた人形で、演能の様子が展示されている


池を中心とした桃山式回遊庭園
には阿蘇の伏流水が湧き出で、
美しいコイが目を楽しませてくれる
には阿蘇の伏流水が湧き出で、
美しいコイが目を楽しませてくれる
二の間・火燈窓(かどうまど)「古今伝授の間」は平成21年4月より解体され、修復工事に入る。すべての資材を再調査しながら工事を進めるため、完成までおよそ2年の年月を要するという
古今伝授の松関ヶ原の戦いで丹後田辺城に篭城した細川藤孝は、庭園の松の木に万感の思いを込めて自ら「古今伝授の松」と命名したという。その松も今では朽ちて根だけが残り、「古今伝授の間」に伝えられている
「竹林七賢人」の襖絵(ふすまえ)(右)一の間の襖絵には、安土桃山時代~江戸時代初期に活躍した絵師・海北友松の作とされる「竹林の七賢」が描かれている。また、杉戸には墨絵の名残を留める狩野永徳の「雲龍」など、宮家ゆかりの建物らしく高貴な絵師の作品が受け継がれている
【取材協力】永青文庫 東京都文京区目白台1-1-1 TEL 03-3941-0850
加勢以多「加勢以多」は、幕府への献上品とされた細川家ゆかりの伝統銘菓だ。その作り方は口伝で伝授されていたというほど秘伝の菓子で、カリンの仲間・マリメロの甘酸っぱい餡をサックリとしたもち粉の生地で挟んだもの。細川忠興が非常に好んだといわれ、今も昔も変わらず茶事やおもてなしに喜ばれている。16枚入1,575円~
抹茶で風流を味わう四季折々の庭園を眺めながら、ゆったりと和菓子とお茶をいただけるのも「古今伝授の間」の楽しみの一つ。「抹茶セット」600円
【取材協力】
株式会社 古今伝授の間 香梅
熊本市水前寺公園8-1 TEL 096-381-8008

江戸時代の末、阿波・淡路の旅回りの人形浄瑠璃一座から静かな山里に伝えられた「文楽」が、今も地域の人々の手で大切に守られ、「清和文楽」として継承されている。演ずるのは地元の住民たち。農業の傍らで受け継いできた文楽は、今や義太夫を抱える一座へと発展し、全国の人々が足を運ぶ熊本の伝統芸能となった。
野舞台で公演することが多かった清和文楽の人形は、他の文楽に比べて大きい。離れた席の観客にもよく見えるように、動作も大ぶりになっていったという。義太夫節と三味線、そして人形遣いの三位一体の技と、幕間に見せる演者の笑顔に魅せられる邑の文楽だ。
能と同じように大阪文楽もまた、「世界無形遺産」に登録されている

清和の郷土料理が詰まった
お芝居弁当「お里弁当」1,575円
(味噌汁付き、前日までに要予約)。
ヤマメや鶏刺身、山菜など
地元の旬の食材を味わえる
お芝居弁当「お里弁当」1,575円
(味噌汁付き、前日までに要予約)。
ヤマメや鶏刺身、山菜など
地元の旬の食材を味わえる

定期公演
12~3月(毎月第2・4日曜 13:30開演)
※20名以上の団体に限り、希望の日時・演目にて予約公演可
ダイジェスト版ミニ公演
予約公演(随時受付 13:30開演)
※一般10名以上・小中学生15名以上の申し込みにて公演。5日前までに要予約
【取材協力】清和文楽館 上益城郡山都町大平152 TEL 0967-82-3001


熊本と能楽の関わりは深い。細川藤孝は、自ら観世元忠について能を習い、玄人も一目置くほどの太鼓の名手だったという。後を継いだ忠興、忠利をはじめ、歴代の当主も能への造詣が大変深く、数々の演能記録や能面・能装束・囃子道具など、豪華を極めた遺産を残している。
忠利とその子・光尚は金春流、喜多流を細川家の流儀として召し抱え、両流ともに技を競い合ったという。3代藩主・綱利の時代には、能の前身・猿楽の形態を留めた約650年前の「菊池の松囃子能」も復興され、現在に至るまで受け継がれてきた。
能楽が熊本で隆盛を極めた名残りに県内には、出水神社能楽殿、段山能舞台、藤崎宮能舞、菊池神社松囃子能舞台、河尻神宮能舞台という五つもの能舞台が現存している。折々の神事や祭事で奉納される伝統能のほかに、加藤清正をテーマに描いた創作能「熊本能 ―清正―」や熊本にゆかりのある宮本武蔵の兵法書から材をとった「五輪書 武蔵伝」などの新作能も生まれており、能楽を重んじる熊本人の心は今も変わることはない。
時を経て受け継がれてきた能の動きは美しい。足の動きひと差しに、面のわずかな陰影に、まるで波動のように伝わる”心“がある。誰に習わなくとも能は、日本人の魂が自ずと理解するのではなかろうか。演者の思いと一つになることが、能の最大の魅力である。

シテとは「為手」または「仕手」と書き、能の主演者のことを指す。前後二場から成る能では、前場では「前シテ」、後場では「後シテ」と呼び、別人が演じることも多い。シテの相手役が「ワキ」。細川忠興は、豊臣秀吉の天覧能の際に乞われて、シテ方の一人として舞ったといわれている。
【撮影協力】喜多流能楽師・狩野 鵬氏
主にシテ方が使う扇で「中啓」という。畳んだ状態で先が広がっており、本来「末広」とはこの形を指す。「翁扇」や「神扇」「鬼扇」など、役柄によって絵柄や色調、骨色などが決まり、流派によって使い方が異なる
若い女性を模した「小面(こおもて、写真右)」と年を経た女性を表した「孫次郎女面」(写真左)。面とともに付ける鬘帯(かつらおび、写真右下)「銅箔の蔓(かずら)」。面をつけることによって、性別や年齢を演じ分け、神や霊魂、動物、自然などを擬人化して表現することができる。女性の面は、額の「毛描き」が乱れずに平行で、目尻や口角が上がるほど年若であるという
「紅白段葛屋紋様唐織」。シテ方が高貴な女性を演じる時に着用する。演者が着る能装束の重さは
約15kgにもなるという。唐衣だけでもかなり重く、
能楽師は体力が基本と言えるだろう

「薪能(たきぎのう)」とは、夕暮れ時に能舞台の周りにかがり火を焚いて演じる神事能のこと。奈良の興福寺が始まりとされ、水前寺成趣園にある出水神社の薪能は全国でも5番目に歴史が古いといわれている。熊本では祭事の折に薪能が奉納され、ゆらめく炎に浮かび上がる幽玄なひとときを楽しむ人々でにぎわう

花の薪能 毎年4月6日
問/健軍神社 TEL 096-368-2633
出水神社 薪能 毎年8月第1土曜
問/出水神社 TEL 096-383-0074
佐敷城跡観月会 毎年9月中秋の名月前後
問/芦北町社会教育家 TEL 0966-82-2511
【取材協力】 熊本県立美術館 熊本市二の丸2 TEL 096-352-2111


昔ながらの「南関あげ」を自家製白だしで煮込み、卵でとじた特製「南関あげ丼」。白だしをじっくりと吸ったあげと、とろとろの卵の旨みが口いっぱいに広がる。持ち帰りもOK。380円
泳いでいるカワハギを注文が入ってからさばき、刺身と肝は丼に、あらは味噌汁にと一匹丸ごといただける。脂肪が少なく歯応えのある白身と濃厚な肝は、ご当地でしか味わえない一品。1,200円
ネーミングの面白さが◎。さっぱりとした鹿肉を豪快にカツレツにし、甘辛い味噌ダレでいただく。隠し味の柚子こしょうはお好みで調節を。だご汁や小鉢なども付いて食べ応え十分。945円
不知火海の旬が満載! 熊本名物・太平燕(たいぴーえん)を、炊きたての「十二穀米」にトロリとかけた人気の丼。細かく刻んだ春雨の食感もGOOD。魚介の旨味たっぷりスープと漬物付き1,050円 